お前は二人を愛するようになるはず〜水神と人間の恋物語「河伯の花嫁」 〜COMIC COZZLE K-コミック通信

みなさんこんにちは。
東京では先日記録的な大雪で首都機能が麻痺したと聞きました。みなさんお怪我などしていませんか?
記録的な荒天と言えば、韓国では昨年、台風による強風と暴雨がすごかったです。昨年の台風は歴代5位にあたる威力だったといいます。
雪や雨がたくさん降ればさまざまな被害が生じますね。しかし一方では長年の日照りを解決してくれたりもします。
ですから昔から人々は雨乞いのために様々なものを崇拜してきました。昔の中国ではそんな雨を司る神さまを『河伯』と言いました。
今回ご紹介する作品『河伯の花嫁』ここから始まります ―
純潔な娘を捧げれば雨を降らせるという水の神『河伯』。
長年の干ばつに苦しんでいた村を代表して、娘ソガは河伯の花嫁になることを決心します。
激しい風と暴風のあとに目覚めた世界「水の国」でソガは、昼は子供の姿”河伯”(カハク)と夜には本来の姿である大人の姿をした”ムイ”に出会います。
物語はソガとカハクを取り巻く様々な神々が登場しながら興味深く進んで行きます。
身分を超えた恋物語は東西古今を問わず私たちに大きなトキメキを感じさせてくれますが、多くの物語のテーマとされていることで、場合によっては食傷感からつまらない話しになったりもするものです。
しかし『河伯の花嫁』は、魅力的な登場人物と水の国というファンタジー溢れる世界観で平凡さを乗り越えます。
昼と夜とで姿が違うというミステリアスな雰囲気とツンデレな性格で絶妙な魅力を醸し出す水の神・河伯、『花より男子』の花沢類を連想させるフエ、死と死後の罰を司る神である河伯の母、河伯を愛する一人の女神ムラなど、これらの登場人物は、みな神さまであるとともに非常に優れたルックスで物語の見どころを提供しています。ここに神の世界で対立する前皇帝ホンワンと河伯との関わりなど、読者の強い関心を引き起こしています。

また『河伯の花嫁』は単行本の各巻ごとにオープニングを飾るカラーイラストが特徴になっています。巻頭に登場する美しいイラストは、物語の世界に没入する効果を作り出しています。
さらに仕上げは、作家による編集後記的なミニマンガ。パンダでキャラクター設定した作家による後日談はもうひとつの楽しみを与えています。

これまでご紹介したマンガは皆少年マンガ的趣向が強かったので、今回は女性読者たちのための純愛マンガを選んでみました。
『河伯の花嫁』は、これまでドラマやミュージカルも製作された超人期作『宮』の原作マンガが連載された雑誌『Wink』に連載されている作品です。『宮』とともにWinkの中でも特に高い人気をあつめています。ですから日本の読者の方々にも『宮』とは違う楽しさを感じて頂けたらとの思いで選択しました。
作品の元テーマになる「月下老人の赤い紐」には素材があります。
人が生まれる前、月下老人(ユエラオ)と言う神さまが小指に赤い紐を結んでくれると言います、その紐のつながった人が運命の相手だと言いますが、お互いにつながった赤い紐を捜すのは容易ではありませんね。
作品の冒頭で、ソガは月下老人から二つの赤い紐を結ばれたというくだりがあります。
あなたの運命の相手はいったい誰なのか?そして運命の赤い紐の相手と結ばれるのか? 『河伯の花嫁』を読みながらその解答を捜してみることもまた一つの楽しみだと思います。
それでは次の作品でまたお目にかかります。
ps. 日本も大雪、大雨に気を付けてください。^^