S.M.エンターテインメントから2012年にデビューした12人組のボーイズグループEXO。

 

彼らはデビュー1年強ですので、まだ“新人アイドルグループ”と呼ばれるカテゴリーに属すはずなのですが、今年に入ってリリースされた新曲「Wolf」「Growl」の活動で地上波の音楽番組1位を総なめにし、大人気グループとして知られるようになりました。

 

韓国ではブレイクしている旬のアイドルを「大勢(テセ)+アイドル」で「大勢ドル(テセドル)」と呼んだりしますが、EXOは名実共に”大勢ドル”としての地位を確立したと言えるでしょう。

 

 

ではこのアイドル供給過多時代に、何故デビュー1年強で大勢ドルになれたのでしょうか。正直実力だけじゃ簡単にその地位を確立するのは難しいと思います。

その理由を探ってみました。

キーワードは3つ。①グループ編成②クオリティ③マーケティング

 

 

 

 

キーワード①グループ編成

現在12人で活動をしているEXOですが、昨年デビューしたときの活動は、韓国で韓国語で活躍する6人組“EXO-K”と、中国で中国語で活動する6人組“EXO-M”に分かれていました。

 

EXO-K

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EXO-M

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たまに海外のツアーなどでは12人で活動したりもしていましたが、基本的には同じグループだけど別々に活動を続けていました。

 

それにより、

韓国ではEXO-KをきっかけにEXO-Mも知り、結果EXOのファンになる、

中華圏ではEXO-MをきっかけにEXO-Kも知り、結果EXOのファンになる、

という人たちが多く現れました。

 

同じグループのメンバーを、言語と土地を分けて活動させることで、各地に”コアファン”を広く作り出すことが出来たんだと思います。

 

 

また、デビュー曲MAMAの活動から1年の間をあけて12人でのカムバック。

これまで別々のグループのようにはっきり分かれて活動していたので、まるで新しいグループのデビューくらいの大きなインパクトがありました。

 

本人達がそれを知っていたかどうかは知りませんが、このストーリーはきっとデビュー当時から描かれていた戦略だったと思います。だからこそのグループ編成だったんだろうと思います。

 

 

キーワード②クオリティ

何をするにも機会というのはとても大事です。

どんなに良い事業案も、機会を逃すだけで惜しい結果になったりしますよね。

でもアーティストにとってはクオリティで機会のハンデを覆すことが出来ます。

 

2012年にデビューした他の新人たちの内、人気が出たグループが次々カムバックする中で、

EXOはデビューから丸1年以上準備を続けました。

 

その間、待ちきれずに他のグループに目移りしてしまったファンもいるでしょう。

ですがカムバックのタイミングでファン全員がEXOに対してさらに熱狂度をあげたに違い有りません。

 

EXOとして12人で活動する為に、彼らは1年かけて、韓国語と中国語の曲を全員が練習し、完璧なパフォーマンスを用意しました。

前回の活動時よりも明らかにレベルの上がったMV、ライブパフォーマンス。

 

 

ティザーやMV、プロモーション活動もクオリティに徹底的にこだわっています。

 

▼ WOLFのMV(通常・Korean-ver)

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▼ WOLFのMV(drama版・Korean-ver)

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▼ GrowlのMV(通常・Korean-ver)

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GrowlのMVは「ワンカット+ダンスショット」という超シンプルな構成。なのにどこかファンタジックな印象。とてもセンスの感じられるMVに仕上がっています。

 

 

EXOが初めて地上波音楽番組で1位を獲得した2013年夏というのは、他の先輩アーティストのカムバックも相次いでいた非常に厳しい時期でした。

ですが、決して急ぐことなく、徹底的にクオリティにこだわり抜いた結果、タイミングをも味方につけたのだと言えるでしょう。

 

 

 

キーワード③マーケティング

S.M.エンターテインメントは大手企業だけあって話題の作り方がすごく上手いです。

 

エンタメだけに限らず、韓国は日本よりも“口コミ”や“話題”というのがマーケティングのキーワードとなっており、広告をうつだけでなくソーシャルやコミュニティでの、ファンとの直接のコミュニケーション等が主要施策として考えられています。

 

 

まずティザーに関してですが、これは彼らのデビュー時のプロモーションを振り返ってみたいと思います。

2012年4月のデビューに向けて、2011年の12月からS.M.エンターテインメントのサイトでEXOのロゴと、メンバーのティザー映像が公開されはじめました。

 

ティザー映像もメンバー一人ずつのもので、一人目のメンバーが公開された後数日後に

二人目、三人目、、と、緻密に練られたスケジュールで公開されていったのですが・・・

 

その数なんと23種類(笑)

単純計算で一人2種類以上です。

 

デビュー前のプロモーション期間はおよそ100日。

 

あのS.M.エンターテインメントがデビュー前からこれだけプッシュしている大型新人ということで話題になり、3ヶ月以上もかけてファンたちの期待感を高めるだけ高めた上で、4月にMAMAという曲でデビューを果たしたのでした。

 

 

次にソーシャルでのファンとのコミュニケーションです。

 

あれだけ期待感をあおってデビューしたにも関わらず、後続曲の発表はなかなかありませんでした。

その間は雑誌に出たり、撮影があったり。なるべく数ヶ月の間があかないようなタイミングで写真や情報をHPやFacebookを通じて公開していました。

そしてカムバック前の2013年2〜3月頃から、それまで大きなイメチェンをしてこなかったメンバーたちの髪型が一気に変わり、その姿がSNS上で公開され始めました。

 

明らかにMVの撮影や準備をしている風なのに、まだカムバックの発表はされず。

2013年5月19日まで引っ張ってようやくカムバックの発表が出されました。

 

 

また、EXOが初めて1位を獲得したときの話です。

彼らのWOLFは、順位を決める要素のうち、“投票”と“動画視聴数”の総合点が高かったのです。

投票に関しては上記の通り、HPやFacebookを通じて獲得してきた根強いファン達

 

動画視聴数に関しても普通にしてても伸びそうなのですが、事務所から”ミッション”として

「ある一定の視聴数を突破しよう!」といったキャンペーンをやっていたんですね。

ミッションクリアするとメンバーの非公開画像だか動画だかが公開されるというような。

ファンにとって得となる施策且つ再生数が伸びればランキングにも有利になるというキャンペーンです。

こういった、すべての施策をぬかりなく押さえています

 

ラッピングバスやコラボショップ、大型広告などの大規模プロモーションももちろんやっているのですが、その傍らで、一見地道とも言えるような施策までをきちんと押さえています。

 

 

 

キーワードにあえて含めませんでしたが本人たちの実力と努力ももちろんあります。

12人と大人数ですので、ダンスがずば抜けて上手いメンバーもいれば、歌がずば抜けて上手いメンバー、トークが面白いメンバー等、様々な強みを持ったメンバーが集まっています。

 

カムバック後に人気と勢いに拍車がかかっているのは、彼らの実力と言えるでしょう。

 

パフォーマンスが優れているのはもう言うことなしなのですが、彼らはバラエティ番組に出ても面白いです。これから仕事増えるでしょうね。

 

 

韓国では大勢ドルとなったEXO。

そんなEXOを応援する傍ら、私はS.M.エンターテインメントが考える、彼らの今後のグローバル戦略がとても気になっています。今後も注目です!

 

Kyuyon Kim