EXO、B.A.P、防弾少年団(BTS)からK-POPアイドルの「超大型新人」という言葉の定義を分析する。

デビュ−前から大型新人と言われ、今や「大勢ドル(テセドル)」となったEXO、韓国だけでなくヨーロッパでも人気を博し2013年10月に待望の日本デビューを果たすB.A.P、そして2013年に華々しくデビューし同期デビューアイドルたちの中でも一際の存在感を発揮している防弾少年団(以下BTS)の3組を元に、「超大型新人」の言葉の定義を探りたいと思います。
● EXOのケース
EXOは2012年にデビューしたSMエンターテインメントのボーイズグループです。
今年の夏、一番注目を浴びたアイドルではないでしょうか?
Growlの活動では音楽番組で異例の13冠を達成する等、本当に世間を賑わせました。

彼らは、デビュー前に既に大型のティザープロモーションで話題を得ていました。
2012年4月のデビューに向けて、2011年の12月からS.M.エンターテインメントのサイトでEXOのロゴと、メンバーのティザー映像、計23種類が公開されました。
その後、MAMAの活動で韓国・中国に分かれて活躍をしました。韓国版・中国版のMVが用意され、12人が揃ってステージに上がる時は話題になりました。
MAMAの活動を終えるとぱたりと姿を消したEXO。他の新人たちが続々カムバックを果たして行く中で1年間という長い準備期間を経て、今年の5月にやっとカムバックしました。
通常であればデビューしたての新人が1年も公の場に姿を見せなくなるとそのまま忘れられてしまいそうですよね。でもEXOの場合はデビュー前からの話題づくり、MAMAのステージ、パフォーマンス、そしてプロモーションにおいてもクオリティが高く、活動を終えた後も小出しに情報を出し、ファンをつなぎ止め、想像力を目一杯高めてきました。
そして、EXO-KとEXO-Mに分かれて活動していたのが突如12人揃ってのカムバック。
Wolfでは独特な世界観で演劇にのめり込むようにファンは熱狂し、Growlではその音楽性で更なるファン層拡大を実現しました。
以下EXO大勢ドル化のまとめ。
・ 大々的なティザープロモーション。デビュ−前の完璧な話題づくり。
・ パフォーマンスのクオリティの高さ。
・韓国版中国版で2パターンあるっていう贅沢感と全員揃った時のプレシャスな豪華さ。
・SNSを最大限に利用した焦らしマーケティング。
・ファンの熱狂度をあげるWolfのような独特な世界観と、大衆にも話題になりやすいGrowl
のような音楽性。
●B.A.Pのケース
B.A.PはEXOと同じく2012年にデビューしたTSエンターテインメントのボーイズグループです。韓国だけでなくアジア各国やさらにはヨーロッパにまでその名を轟かす実力です。
B.A.Pもやはりデビュー前の話題づくりを徹底していました。
まずデビュ−前に地上波広告でティザー映像を流しました。
かつて東方神起が、2010のリリースに先立って地上波広告を通じて活動を知らせたことはありましたが、新人歌手にはコストの面でこういったことはほとんど行われません。
TSエンターテインメントはコストの面で負担はあるものの、大胆な投資でグループを広報し、B.A.Pの公式的なデビューに先立って多くの人々に露出するチャンスを作りたかったと語っています。
またデビュー前にドキュメンタリー番組を放映し、韓国だけでなく、世界各国に放映され、話題を集めました。
そんな彼らが2012年タイトル曲「Warrior」で華々しくデビュ−し、さらなる関心を集めることになります。

それは彼らの音楽性とパフォーマンスです。Warriorは強烈なヒップホップビートにクランプとロックの要素が加味された歌であり、暗黒のような人生の中で一日一日を生きていくこの時代の人々を語った歌詞です。また、激しくてレベルの高いダンスパフォーマンスとLTEラップと呼ばれる超高速ラップが話題になりました。
彼らの持つ音楽性とパフォーマンスはK-POP好きやアイドル好き以外にも受け入れられるクオリティのものでした。
その後もヒップホップを基軸とし、テイストの違う曲をいくつもハイペースでリリースすることで、ファンの熱狂度を上げつつも認知度を同時にあげてきました。
以下B.A.Pの大型化まとめ。
・ 大々的なティザープロモーション。デビュ−前の完璧な話題づくり。
・ ダンスパフォーマンスのレベルの高さと激しい振り付けによるレベルの高さのアピール
・ 新人アイドルにもK-POPアイドルにも珍しい重たいヒップホップビートとクランプ。
・ ヒップホップを基軸とした音楽性はぶらさずにテイストを変えた曲を次々にリリースし、着実にファンの熱狂度をあげつつ認知度も高めた。
EXOと違う点でいうと、EXOが1年かけて作り上げたクオリティと焦らしマーケティングを行った代わりに、B.A.Pは音楽性の軸はそのままにテイストを変えた曲で何度も何度もカムバックした点くらいですね。
●BTSのケース
2013年6月12日に華々しくデビューを果たした7人組ボーイズグループです。防弾少年団はBTSと略されます。
2013年にデビューした新人たちの中では一際存在感を発揮している彼ら。

彼らもまた、デビュ−前の大型ティザープロモーションを行っていました。
ヒップホップ色満載のトレーラー映像をHPで公開し、複数回に分けてティザー映像を公開しました。またメンバーのティザープロモーション写真を1枚ずつ公開。
独特なグループの名前と共に話題になりました。
この変わったグループ名の由来は、10代、20代に向けられる抑圧や偏見を止め、自身たちの音楽を守りぬくという意味だそうです。インパクトある名前ですよね。
そしてデビューと共に反響は増し、「やはり彼らは大型新人だ」と話題になりました。
9月にカムバックしたニューアルバムも独創的で話題になっています。

彼らの持ち味はがっつり激しいヒップホップとレベルの高いラップの実力。もはやダンスのパフォーマンスは高いレベルのグループが多くて強みにならないかもしれませんが、もちろんダンスの実力も兼ね備えています。
以下BTSの話題化のまとめ。
・ 大々的なティザープロモーション。デビュ−前の完璧な話題づくり。
・ 独特なグループ名
・ パフォーマンスのレベルの高さ
・ 新人アイドルにもK-POPアイドルにも珍しい重たいがっつりヒップホップ
・ レベルの高いのラップ
・ K-POP好きやアイドル好き以外にも好まれるヒップホップを基軸とした音楽性
なんとなくBTSはB.A.Pのライバルグループになりそうですね。
●まとめ。
こうやってみると、K-POPアイドル界隈における大型新人と言われる条件は結局、超当たり前なんですが以下の2点。
①事務所によるティザープロモーションへの大胆な予算投下とマーケティング。
②話題負けしない本人達のレベル、クオリティ。
①だけではダメ、②だけでもダメ。①だけがすごくて姿を消して行ったグループもいれば、②だけが伴っていて話題にならないグループもたくさんいます。
そして、最近ではグループの数が多すぎて②が伴っているのになかなか話題になれないグループが多いです。
つまり昨今の「大型新人」という言葉は、事務所のグループへの期待のかけかたのさじ加減が大きく影響しているでしょう。
今後より一層、アイドルを売り出す為の広報戦略、マーケティング戦略が大事になってくると思います。
Kyuyon Kim
