2011年大ヒット映画「神弓-KAMIYUMI-」出演のムン・チェウォン インタビュー
敵は10万人。 愛するものを守るため、たった一人で挑んだ名もなき弓士がいた─
1636年、“丙子(へいし)の乱”の戦いによって、50万人の朝鮮市民が清の戦争捕虜となったといわれる激戦のさなか、歴史に残ることのなかった、ある伝説の弓士がいた──
2011年、韓国で封切りからわずか4日で100万人を動員し、3ヶ月のロングランの後、最終的に観客動員800万人、国民の6人に1人が見たという興行成績年間NO.1を記録した本格アクション映画。主演のパク・へイル(「殺人の追憶」「グエムル 漢江の怪物」)は、本作で”韓国のアカデミー賞”と称される、大鐘賞映画祭の主演男優賞を受賞。ヒロインのムン・チェウォンも新人女優賞を受賞するなど4部門を制覇した超話題作「神弓-KAMIYUMI-」(キム・ハンミン監督)(原題:最終兵器 弓)が、来る8月25日より公開される。
日本公開を前に、ヒロインを演じたムン・チェウォンに見どころやエピソードを聞いた。
――撮影で印象に残ったことはありますか?
「一番印象に残っているのは、結婚式の日に、清の軍隊に首に縄をつけられて引っ張られ、連れ去られるところです。あの撮影には4日間もかかったんですよ。あのシーンを撮りながら、『ああ、これはかなり険しいことになる。並大抵の映画ではないんだな』と覚悟をしました」
――かなり肉体的にも大変だったようですね。
「男性の共演者たちにくらべれれば、私はそれほどではなかったとは思うのですが、やはり体力的にも、精神的にも全員にとってハードな撮影だったと思います。でも、私にとっては楽しい撮影でもあったんです。この作品に出演する以上、覚悟を持って参加していましたし、完成したらどんな映画になるんだろう、という期待を抱きながらずっと撮影をしていました」
――楽しかったというのは、具体的にどういう点ですか?
「個人的に、共演者への期待というのがとても大きかったんですね。パク・ヘイルさんの作品はすべて観ていて、本当に力のある俳優さんだと思っていましたし、リュ・スンウォンさんは、『風の意志』で共演したことがあります。皆さん本当に演技派で、そうした方々と共演できることが何より楽しかったんです。だから、この映画は大ヒットしそうだ、というような意味ではなく、きっと素晴らしい作品になる、という期待でワクワクしていました」
――ジャインは、女性の凛とした強さと優しさを兼ね備えていると思いますが、彼女を演じたことで何か影響を受けましたか?
「作品をひとつ撮り終えると、間違いなく自分の中に何かは残りますが、それが普段の生活に影響を及ぼすというほどではないんですね。でも、今回の経験が今後、いろいろなところで生かされてくると思います。ジャインという女性は、いままでの時代劇にはいなかったような、芯の強い女性です。ただ泣いて屈服する弱い女性ではなく、朝鮮の女性らしい、芯の強い人物でしたので、とても共感しながら役に臨むことが出来ました」
――「神弓」は、韓国で2011年の観客動員、興行収入共に第1位という国民的大ヒットになりましたが、その要因はどのあたりにあると思いますか?
「私は演出家ではないので専門的なことは言えませんが、良質なストーリーと娯楽性が共存した作品だと思います。個人的には、とてもエンタテインメント性のしっかりした作品だったと思います。観客の目と耳を引きつけ、息つく間もないほどずっと緊張感が持続しますし、同時にとても楽しい映画でもあるので、そういったところが支持された理由ではないでしょうか」
――この映画は家族や兄妹の絆がテーマになっていますが、兄役のパク・ヘイルさんとの印象的なエピソードがありましたら、教えてください。
「その通り、この作品では家族の絆、兄妹の絆が重要なテーマなのですが、映画の序盤で兄と妹は離れ離れになってしまいます。ですので、兄役のパク・ヘイルさんとは実際に同じ場面で御一緒する時間はあまり多くはありませんでした。それでも共演したシーンではパク・ヘイルさんの演技力に圧倒されましたし、いろいろな面で助けられました。一緒に出演していないシーンでも、ヘイルさんの演技を間近で見ることがありましたが、その集中力と持つ人並みならないエネルギーには、驚かされましたし、本当にすごい俳優さんなのだと実感しました。ヘイルさんの演技からさまざまなことを学ぶことができて、とてもよい経験になりました」
――ムン・チェウォンさんご自身が特に好きなシーンはどこでしょう?
「これは弓を見せる映画ですから、パク・へイルさんもリュ・スンリョンさんも、とにかくたくさん弓を引きます。そしてこれは朝鮮の弓と、清の弓の対決でもあります。ですが、その闘いの中、ジャインが引く弓は“兄を助ける弓”なんです。そのシーンはジャインというキャラクターをとてもよく表現していると思いますし、私にとってはとても印象に残るシーンでした」
――ジャインも、「華麗なる遺産」で演じた役も強い女性でしたが、やはり強い女性にひかれますか?
「やはり、そうだと思います。私自身は、甘く軽快なロマンティック・コメディーも好きですし、演じるにあたって決して強い部分にのみ焦点を当てているわけではないんです。けれど、感動や希望を観る方に伝えるにあたっては、悲劇的な要素や、力強い部分というものが必要になってきますし、だからやはりそうした女性に惹かれる傾向があるんだと思います」
――今後、どのような役を演じてみたいですか?
「実は二つの人格を持つ役というのを演じてみたいとずっと思っていたのですが、今度出演する『やさしい男』という新しいドラマが、まさにそうなんです。私は、事故で脳に損傷を受けて、記憶喪失になり、そのために人格が変わってしまう女性を演じるので、とても楽しみにしています」

『神弓-KAMIYUMI-』
2012年8月25日よりシネマート新宿、シネマート六本木ほか全国にて順次公開
配給:ショウゲート
公式HP:http://kamiyumi.jp/
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