K-POPという言葉が流入してきたのは、KARAが『ミスター』、少女時代『GENIE』を発売した2010年の夏秋頃からだろう。

KARA8月、少女時代が9月に日本でCDデビューを果たし、両者は日本における最も成功を収めたK-POP女性アイドルグループだと言える。

 

しかしながら、日本国内におけるK-POPにおける評価のされ方は、韓国のそれとは大きく異なっている。

 

実は、KARA、少女時代の両アーティストよりも早い時期に、K-POPという括りで韓国からの期待を受け、日本に送り出されたグループが居る。

4分間でそれぞれの魅力を披露する」という意味と「For minute(瞬間)にベストを尽くす」という意味が命名された4Minuteだ。

 

彼女らは2010年の5月に『Muzik』でCDデビュー、KARAよりも3ヶ月早いスタートだったが、KARAや少女時代のように大衆的なヒットを叩き出す空気感を作ることは出来なかった。

 

韓国での4Minutesと言えば、2009年にデビューして以来、国内では不動の地位を築き上げ、2013年においては、『名前は何ですか?』が発売4週目、5週目においても週間チャートで1位に、『水がいい?』はMnetBugsOlleh MusicSoribadaなど9つの主要音楽配信チャートのうち7つのチャートで1位を獲得するなど、息の根が長い安定感のある歌手グループだ。

 

4Minuteは日本においても、コンスタントに活動を続けているが、後発組のT-ARASecretの方が勢いはあり、今後4Minuteが日本のマーケットに大きなインパクトを起こすような雰囲気は感じられない。

 

こうした背景には「韓国におけるスタンダードなK-POP」と「日本におけるアイドルファンの心情」との大きなズレがあり、K-POP女性アイドルそのものが不発の責任を追うものではない。

 

少女時代がよくインタビューで答えていた「日本は女性のファンが多い」ということにも集約されているが、はっきり言って「日本人の男性」はK-POPの女性を好きになるという心情になりにくい。


なぜなら、K-POPアイドルは、日本人男性から見ると…

 

・スタイルが良過ぎる

・ダンスなどのパーフォマンスが高過ぎる

・歌が上手過ぎる

・知的過ぎる

・エレガント過ぎる

 

の全体の要素で完成度が「高過ぎる」からだ。

 

外部からやってくるハイレベルなモノを排除するような認識は日本において顕著であり、その対象が「抜かりのない女性」ということになると、日本人男性は男としての自尊心も壊される訳だから、なかなか愛着を持ちにくいとも言えるだろう。

 

それに日本の音楽文化からK-POPのアイドルを覗いた時に、そのレベルはもはや「アーティスト」と呼ぶに相応しいだろう。

 

日本のアイドルは「足らず」な部分が顕著であり、その中で一生懸命な姿を曝け出すことで、応援してあげたい欲求を掻き立てる傾向にある。

音楽的要素の記号以外に力を入れ、フォーカスしていくのが、日本のアイドルなのであり…

 

・スタイルがそんなに良くない

・ダンスがそんなに揃ってない

・歌がそんなに上手くない

・おバカ・天然

・可愛い

 

というのが、日本でウケる要素であって、そもそも日本人の男性というのは、「ちょうどいい相手」を探すかのようなファン探しを行っている。

 

古き良き日本の「女性は男性の後ろを歩く」といった風土、そして、ジェントルマンのように女性をエスコートすることが極端に少ない慣習などが影響しているだろう。どうしても、日本人男性の場合、「凄みのある女性」に対して、好意を抱く前に、「負けた感」、「馬鹿にされた感」が先走り、「高嶺の花」であることに絶望感を覚えがちだ。

 

どうだろう?女性ファッション雑誌モデルのような日本人女性グループがヒットしたような記憶はあるだろうか?

そうした前例がない中で、KARAや少女時代がヒットしたのは、「腰振りダンス」や「美脚ダンス」のように、キャッチーな方へ落とし込み、より「可愛い」や「ポップ」のテイストを強みに、プロモーションを行ったからだろう。

 

特に日本の音楽市場での成功が著しいKARAは、『ジェットコースターラブ』『GO GO サマー!』など、韓国では絶対に行わないような甘くてキャッチーなアイドル路線の楽曲を日本に届けている。韓国で売れるパッケージと日本で売れるパッケージを理解した上で、アーティスト像とコンテンツを作り分けているのだ。

 

練習生のうちから、アイドルに関するすべての要素をグローバルな視点で鍛錬し、ステージでは聴衆にプロフェッショナルであることを魅せ付けるK-POPのスタイルは、アイドル好きの日本人男性からしてみれば「助けるべき」要素がなく、「助ける」要素もなく、ファンへと結びつかないのだろう。

 

日本人は「足りない」ということに安心する。

足りないからこそ応援する。

その「足りない」をコンテンツとして猛プッシュしているのが、現在のAKBだろう。

 

ハイパフォーマンスの「どうだ!これは!」って言われると、「そうだ!」と素直になれないのが日本人。

相手のハイを認めることは、自分のローを認めることであり、それが「男性」対「女性」の構図になれば、なおさら高めに出る女性に対して、男性は「ファン」という支持者にはなりにくいのだ。

 

ぜひ、K-POPを国内レベルでしか視聴したことがない方は、韓国のMVや音楽番組の様子は、YouTubeなどでもアップされているから、追って見て欲しい。

 

そこでは、よりアイドルが他のアーティストの曲を歌い、他のアーティストの曲をダンスし、清く正しく美しく戦い抜いているアイドルの姿を観ることが出来るだろう。


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