マナ系キムドンフン(김동훈)の巻

トンは若くて成長著しく、マナは成熟してやや元気がないという感じでしょうか。韓国のマナは、長年、韓国人に大変に愛されてきましたが、作家も出版社も不遇の時代を迎えています。それにはいくつかの理由がありますが、最も大きな打撃を与えたのは、トンだと思います。だから、ライバルと言えるのかもしれません。
ウェブトーンは、その名の通りウェブで見る漫画なんですが、マナ(紙の漫画)とは異なる特徴があります
1、縦にスクロールして見ます。トイレットペーパーを逆さに読む感じです。
2、無料で見れます。最近は一部有料になりましたが・・・
3、カラーです。背景は自分で撮ってきた写真を加工しているような感じで、とにかく、綺麗でハデです。
4、絵が下手でもネタが面白ければ人気が出ます。
このようにウェブトーンは、あきらかにマナとは作り方も読まれ方も、そしてビジネスとしても異なるのですが、最大の強みは、ネイバーやダウムといったポータルで掲載されるので、人気が出るとスゴいPPVになるということです。人気作品だと1000万PPV超えになっちゃいます。1000万人が読むの連載なんて日本でも無理でしょ。
じゃあマナ系作家もウェブトーンやればいいじゃん、と思われるかもしれませんが、そんなに簡単ではないんです。ウェブトーンは紙の漫画みたいに描き込む必要がなかったりするので、マナ系作家にはどうにも馴染めない世界なんです。プレステのすごいゲーム作ってた人が、ソーシャルゲームに馴染めないのと似ています。
韓国では漫画雑誌がどんどん廃刊されています。今は2~3誌しかなくなってしまいましたマナ系作家は発表の場、というか仕事がなくなりつつあるわけです。彼らはまるで“絶滅品種”予備軍みたいな存在です。カネを稼ぐためにはオンラインゲームのデザイナーになるか、ウェブトーンやるかが迫られている。なんか、究極の選択。どっちもイヤだ、どっちもツラい・・・みたいな。
そんな折、日本の某出版社から、「韓国で“筋肉を描ける”作家を探してこい」というミッションが私に下されました。広告マンであった私は、クライアントの指令であれば犯罪以外であれば絶対服従という習性がありますので、すぐに韓国に飛びました。
まだまだ韓国ほど末期的ではなく、それなりに栄えている日本の漫画雑誌からの話であるので、絶滅品種予備軍のマナ系作家たちは、案の定興味を持ってくれました。しかし、彼らとの出会いは、絶滅からの救済ではなく、新たな才能という品種の発見になりました。彼らは、日本の編集者たちが驚くような描画力を持っていました。
銀のケルベロスの作者BerryStar
(本名:キム・ドンフン)
©HEROS
トン・マナの事情|~Kコミックの新潮流~
By Yoshiyuki Fukui