【美男ですね】に隠された、知られざる日韓の好みとは!?
チャン・グンソク来日で、新潟空港が大パニック!
代表作『美男ですね』に隠された、 知られざる日韓の好みとは!?
3月25日に、チャン・グンソクが2015 JANG KEUN SUK THE CRISHOWの公演のため、新潟に訪れた。仁川国際空港のわずか10分の1にも満たない新潟空港には、約1300人のファンが駆けつけ、大パニックとなった。まさに、彼の人気ぶりを改めて知らしめることになった出来事といえるだろう。
チャン・グンソクの代表作と言えば、『美男ですね』(2009年SBS)。日本版としてもリメイクされ、今なお根強いファンを持つ作品だ。しかし本作品の、韓国での人気は日本とは比べ物にならないほど低いのをご存知だろうか。その証拠に、放送当時の韓国での平均視聴率は、わずか11.9%に留まっている。では一体なぜ、韓国では人気が低いのだろうか?まず、当時の裏番組で、『IRIS-アイリス-』(2009年KBS)が放送されていたことが考えられる。『IRIS-アイリス-』と言えば、総製作費200億ウォン、日韓共同制作作品として大きな話題を呼び、平均視聴率30%を超えた、韓国ドラマ史にも残る超大作となった作品である。人気俳優イ・ビョンホンと人気女優キム・テヒをW主演に添えたことも、勝因の1つだったのかもしれない。そんな状況下のなか、残念ながら『IRIS-アイリス-』の影に潜んでしまったことは、致し方なかったことなのかも知れない。
次に『美男ですね』は、「韓国人が好むドラマ」ではなかったことが考えられる。修道院で修行をしていた女性が、双子の兄に成り変わり、イケメンバンドの一員として、生活を送るという設定は、真面目なドラマを好む韓国人にとっては、あまり好まれるドラマではなかったのだろう。本作品が、実際に起こりうるような現実味を帯びた設定で、生活の糧として学べる言葉などが織り交ぜられていたなら、もっと支持を受けたことは大いに考えられる。なぜならば、そういった文化や考え方を韓国人は最も好み、大切にするからだ。
例えば、『製パン王キム・タック』(2010年KBS)。韓国で平均視聴率38.6%を記録した、言わずと知れた大ヒットドラマである。本作品では、主人公が何度も苦境に立たされながらも、めげずに真剣に取り組んで成功していく姿が描かれている。視聴者は、そんな主人公と自分を重ねることで、「頑張っていれば、いつかはきっと報われるという希望」を持つようになる。そして、同じ立場であれば、自分はどうするかということを真面目に考えるのだ。つまり韓国人は、「真面目なドラマを好きな人が多い」のである。反対に、多くの日本人は、『美男ですね』の人気が示すように、「胸キュンするドラマ」だったり「(クールさと純粋さを持ち合わせたような)ギャップのあるキャラクターが登場するドラマ」を好む傾向が強いのかも知れない。その証拠に、『成均館スキャンダル』(2010年KBS)などは、前述した2つの特色を持ち合わせていながら、韓国以上に日本で長く親しまれている典型的なドラマの1つだ。もちろん、両国どちらにも人気が高く、今なお愛され続けている作品も多い。『星から来たあなた』(2013-2014年SBS)や『宮廷女官チャングムの誓い』(2003-2004年MBC)などは、国内やアジアだけでなく、世界全土において社会現象とまでなった作品である。このことからも分かるように、今後の韓ドラ界において鍵を握るポイントは、「グローバル化への意識」なのかも知れない。