韓国料理から学ぶ美容と健康シリーズ その1|ポッサムキムチ

 

韓国料理といえば、「辛い」というコトバが浮かんでくるほど、辛くて刺激の強いものが多い。一体なぜ、これほどまでに、辛い料理が多いのだろうか?答えは簡単で、この辛さこそが、「美容と健康」に良いとされているからである。
本シリーズは、「美容と健康」に良いと言われる、様々な韓国料理を実際に調理し、その料理が与える「効果」はもちろん、「レシピと作りかた」も合わせて、ご紹介させていただくコーナーである。

第1回目のお題に入る前に、まずは韓国料理の特徴を少し述べてみるとしよう。

韓国料理には欠かせない、辛味のもとである「コチュカル(唐辛子)」。このコチュカルには、「新陳代謝」を促進させる働きがあり、お肌の美容には必須となる、「ビタミン」や「コラーゲン」、「タンパク質」を多く摂取出来るのである。
さらには、「滋養強壮」に効くと言われている、「薬膳系や漢方系」、そして「胃腸の働き」を良くする効果も含まれている。そして、血の巡りも良くし、エネルギーを消費させる効果もあるため、「脂肪も減少」しやすく、「ダイエット効果」として、抜群の効力を発揮する調味料なのである。

つまりは、あらゆる韓国料理に使われることの多い、このコチュカルこそが、韓国料理が、「美容と健康」に良いと言われている最大の要因なのだ。ツルツルすべすべな、キレイなお肌の韓国人女性が多い理由も、韓国料理の中に、「美肌を作る栄養素」がたくさん含まれているからに他ならないのである。

さて、記念すべき、シリーズ第1回目となる、今回のメニューは『ポッサムキムチ』である。

 

材料(2人分)調理時間45分

豚バラのかたまり肉…………………300g
下味
(にんにくのすりおろし…………………小さじ2分の1
塩、こしょう……………………少々)
にんにく…………………3かけ
しょうが…………………1かけ
ねぎの青い部分……………1本分
生野菜
(サンチュ…………………5枚
えごまの葉………………5枚
にんじん………………2分の1本
かいわれ………………2分の1パック)
白菜キムチ(漬けたて)……………適宜
タレ
(ごま油………………大さじ3
あみの塩辛……………大さじ1
白いりゴマ……………適宜)
特製みそダレ
(コチュジャン………大さじ2
コチュカル…………小さじ1
酒…………小さじ1
しょうゆ………小さじ4分の1
みそ……………小さじ4分の1
砂糖………小さじ4分の1
にんにくのすりおろし………少々
白いりゴマ………少々)

※特製みそだれの代わりに、コチュジャン大さじ3でもOK

 

 

 

作り方

1.豚肉と下味の材料を和えて、10分ぐらいおく。鍋に、たっぷりの水・にんにく・生姜・ねぎの青い部分を入れて、強火で熱する。煮立ったら弱火にし、アクを取りながら30分茹でる。菜箸で豚肉を突いて、透明の汁が出たら、火を止めて、余熱がなくなるまでおく。余熱がなくなった豚肉は、汁気を取り、ラップに包んで、冷蔵庫で2日間寝かせておく。

2.にんじんは、4cm角の棒状に、かいわれは根元を切る。白菜キムチは、食べやすい大きさに切っておく。

3.寝かせておいた豚肉を、厚さ5mmぐらいの大きさに切って、野菜・キムチと一緒に皿に盛り付ける。タレと特製みそだれを作って完成。

 

このポッサムキムチは、「豚肉のかたまり」を茹でたものを、ごま油などの入ったタレなどにつけて、「キムチ」やエゴマの葉、サンチュ(サニーレタス)などの、「お野菜」と一緒に包んで食べる料理で、「美容と健康」にも、大変優れているメニューとして、韓国では広く親しまれている食べ物である。

 

どういった点が「美容と健康」に優れているかというと、まず、豚肉は「牛肉」よりも、「5~10倍のビタミンB」を含んでおり、「良質なタンパク質」と各種栄養素が、「お肌に弾力」を与える。さらには、動脈硬化や高血圧症などの「成人病」を引き起こす、「コレステロール値」も、牛肉に比べて半分以下とされている。
そして、この豚肉を「茹でる」ことにより、「余分な油」がなくなり、ビタミン豊富な豚肉として、「低カロリー」で食べられることから、「ダイエットメニュー」としても親しまれているのである。

特に、この豚肉と一緒に食べる「キムチ」が、コチュカルだけではない、「乳酸菌」と「ビタミン」を多く含む「発酵食品」として、腸の働きを正常化させるため、「美容効果」に、大変優れていると言われている。
韓国の女性が、「石焼ビビンバ」や「カルビ」などを中心とした、カロリーの高い料理を、どんなに食べ過ぎても、不思議と太らない理由が、この「キムチ」にあると言っても、決して過言ではない。なぜならば、カロリーを多く含む、重たい食事と一緒に食べることで、本来「キムチ」が持ち合わせている、「カラダに良い効果」が最大に発揮されると言っても過言ではないからである。

カロリーの高い豚肉を食べながら、「ダイエット」が出来るなんて、まさに夢のような食べ物ではないだろうか。

さて、今回のポッサムであるが、「豚肉を茹でる段階」が、最大のポイントである。最初に豚肉を茹でさえすれば、後は、タレを作ったり、野菜を盛り付けるだけで済む、至って簡単な料理なのだ。

 

調理方法だが、まず、茹でる段階でニンニク・生姜・ネギの青い部分を使用することで、豚肉の味を染み込ませている。煮込んだ後は、余熱が取れるまで、しばらく放置し、2日ほど冷蔵庫で寝かせて、さらに旨味を引き出している。

 

タレは、韓国料理には欠かすことの出来ない、「ごま油」と「あみの塩辛」、そして、「特製みそダレ」を使用。今回写真には載せていないが、野菜には、サンチュと人参のスティック、かいわれを使うのが、一般的な食べ方である。もちろん、お好みでアレンジしても、ポッサムキムチそのものの美味しさは、損なわれることはない。

 

そして何と言っても、キムチである。ポッサムによく合うキムチとして、一般的に知られているのが、「発酵期間の短い」ものである。なぜならば、発酵期間の短いキムチを使用することで、匂いもきつくなく、たくさんの量が食べられるからだ。いわゆる、コチュカルと塩漬けした白菜を和えたばかりの、「漬けたて」の状態が、最もポッサムには、相性が良いとされているのである。
日本人には、考えられない感覚ではあるが、韓国人の多くは、朝・昼・晩と、「毎日キムチ」を食べたり、「朝からチゲ鍋」を食べるほど、幼い頃から、コチュカルが入った料理に慣れ親しんでいる。今回のメニューである、この「ポッサムキムチ」も、韓国では古くから、「貧しい生活」を送る人たちでも、豚肉を「低価格」で、たらふく食べられる、「庶民的」な料理として、広く愛されている食べ物である。

 

茹でて、寝かせるだけで、後は手間いらずの「ポッサムキムチ」、食卓のおともに、そして、「お酒のおつまみ」として、ぜひ、ご一緒にいかがでしょうか?『ポッサムキムチ』、「美容と健康」に良い韓国料理である。

 

 

(文=善韓流コトバライター平松相善)