K-POPグループのネーミング こんなに大切に守られてます
T-ARAの所属事務所であるコアコンテンツメディアから5月にデビューする予定とされる7人組ガールズグループの名称が公募の結果決定されたことが先頃報じられていましたね。
その名も「ギャングキッズ(GANGKIZ)」
コアコンテンツメディアによると、公募で集まった件数は実に3万7500件に上ったとそうです。
「ギャングキッズ」のメンバーは、ファン・ジヒョン、チェ・スウン、イ・ヘイン、キム・ヘジ、ソミン、ジョ・ウンビョル、エステルの7人。
すでに女優やモデルとしても活躍しているメンバーなど実力派揃い。
「ギャングキッズ」の名称は、日本的にはいまひとつピンと来ないかも知れませんが、「可愛いいたずらっ子」の意味があるのだそうです。
そう聞くとなるほどかわいいネーミングなのですね。
K-POPアーティストのネーミングというのはみんな非常に凝っていて、その意味を調べて行くだけでもかなり面白いものですが。
一例をあげますと、
たとえば「4Minute」は、「4分間(ワンステージ)ですべての人々を魅了する」と「For minute ~ 一瞬一瞬にベストを尽くす」の二つの意味がある、とか。
「T-ARA」は「歌謡界の女王になって王冠を着ける」という意味が込められているとか、このあたりは有名ですよね。
これが「MBLAQ」になると、「“Music Boys Live in Absolute Quality”(唯一無二の最高なクオリティでパフォーマンスするボーイズグループ)の略」だったり、「U-KISS」は「“Ubiquitous Korean International Idol Superstar”(あらゆる場面に存在する韓国の国際アイドルスーパースター)の頭文字を取った」という意味と「UにはYouの意味があって“You kiss”(あなたとキスを)」という意味もあるとかで、ほんとに奥深い。
このように、中にはかなり難解なものもあるのですが、いずれにしてもネーミングが大切なのは、何もK-POPグループだけじゃなく、誰しも認める所ですよね。
どんなビジネスでも商品でもそうですが、最初にインプットされるのは名前です。ですからどんな商売においても、その名前を知らしめて、育てて、ブランド力を付けていくわけですね。
ブランドというのは、その名前から想起するイメージです。たとえば、メルセデスと聞いたときに何となく連想する「高級」のイメージ。Appleと聞いたときに感じる「先進性」や「おしゃれなデザイン性」など。
こういったものがすべてブランド力であり、長年にわたって育まれた、企業努力によって社名や商品名に刷り込まれた代え難いイメージなわけですね。
ですから、商品開発やサービスの品質向上と同様に、そのネーミングはしっかり守らなければならないわけです。有名になればなるほど。
このあたりは海外の企業は特に顕著で、上記Appleもビートルズのレコード会社「アップルレコード」と長年係争を繰り広げたことは有名ですし、今度はiPadの商標を巡って中国市場で色々揉めていますよね。
こういったネーミングを法的に守るのが、日本では知的所有権と呼ばれるものであり、その中でネーミングについては「商標権」という権利で守られています。
特許庁に対してしかるべき手続きをして商標が認められないと、その商品やサービス(会社名も)の名称を独占的に使用することができないわけですね。
これはどういうことかというと、たとえばトヨタ自動車以外のメーカーが、トヨタという名前で粗悪な自動車を発売したら、トヨタうんぬんというより、最終的に消費者が被害を被りますよね。
トヨタ自動車というブランド名を信用して、安心して購入したはずの車が欠陥車であったとか。
ですから、商標権というのは出願者を守ることにより、健全で質の良い商品・サービスを育てようということと共に、消費者を誤認による被害から守るという意味があります。
ですから、どのメーカーも企業も、商品名はトップシークレット中のトップシークレット。
商品開発と同様に最高機密として開発、管理が行われ、商品発表前には水面下で特許庁に出願し権利を確定させます。(自動車メーカーなどは事前にいくつものネーミングをストックとして出願し、そのなかから決定するということも多いようですが)
この商標の出願ですが、商標には「分類」というものがあって、何の分野にそのネーミングを使用するのか選ぶことが出来ます。現在この分類は45種類あって、たとえば
第1類 工業用、科学用又は農業用の化学品
第2類 塗料、着色料及び腐食の防止用の調整品
第3類 洗浄剤及び化粧品
・・・といった具合です。
ですから、たとえば「iPad」の商標は、第9類の「電子応用機械器具及びその部品、電気通信機械器具」で出願されています。
これ、どういうことかと言うと、極端な話まったくの第三者が「iPadチョコレート」なるものを出願したり、販売することが可能だということですね。
もちろん、そのチョコレートがiPadの形をしていたら、別の権利(この場合、意匠権)侵害でNGだと思いますし、あまりに悪質な場合は「不正競争防止法」という別の法律で取締りがなされると思われますが。
ともかく、そういう仕組みになっているので、トヨタなどはその社名を全ての分類で出願していると言われています。
ですから勝手に「トヨタチョコレート」とか「トヨタパソコン」とかの商品はたぶん出せません。念のため。
また理論的には1字でも違っていれば登録は可能(類似商標)なわけで、あのカシオは「G-ショック」の出願に際して、「A-ショック」から「Z-ショック」までアルファベット全部を出願したといいます。
今回の中国市場でのiPad問題もこのたぐいでして、中国広東省深センのIT機器メーカー「唯冠科技(イカンカギ)」は、一説によるとa〜z(apad〜zpad)まで全てを出願していると言われていますが、いずれにしてもAppleに手抜かりがあったと言わざるを得ないでしょうね。
今や一般名詞化の感すらあるシール写真印刷器「プリクラ」。
これ正式名称は「プリント倶楽部」なのですが、このプリント倶楽部の生みの親であるアトラス(現インデックス)は、1995年のプリクラ商標出願の際に、ターゲットである「最近の女子高生は名前を何でも短縮して言う傾向がある」として、「プリント倶楽部」と「プリクラ」の両方を出願しました。
読みはずばり的中しましたね。いま「プリント倶楽部」なんて呼ぶ人いませんもんね。
さて、前置きが長くなってしまいましたが、ことこれK-POPグループの名前もいわば商品名な訳です。
「じゃあ、そんなグループ名も特許庁に出願されてるわけ?」
というと、これ、そうなんですね。
(2に続く)