【オリジナルコラム】SHINee キム・ジョンヒョンの作品に見る軌跡
【オリジナルコラム】SHINee キム・ジョンヒョンの作品に見る軌跡
2017年12月18日
この日、SHINeeのメンバー、キム・ジョンヒョンがひっそりと天国へ旅立ちました。
誰もがその衝撃に驚き、何故なのかと自問し、また悲しみ、そして受け入れざるをえない現実に直面しました。
それはSHINeeやジョンヒョンのファンだけではなく、少しでもグループや彼の音楽を聞いたことがある人も同じく大きな衝撃を受けました。
私自身もいつも音楽を聞いているスマートフォンに、SHINeeやジョンヒョンの曲をplaylistに入れている一人でした。
SHINeeとしてのジョンヒョンと、ソロアーティストとしてのジョンヒョンはどちらも魅力的でした。グループにいるときはメンバーを支えつつ、しっかりと中心を担う声で。ソロのときは、楽曲だけでなくルックス、スタイルでも存分に自分を表現しきれる人。
そんな印象があります。
小さな頃の夢は作曲家だったと生前語っていたように、デビューしてまもなく、楽曲制作でも精力的活動をしてきました。
2009年に作詞として参加したミニアルバム「Romeo」に収録されている『Juliette』は、初めて作詞として楽曲制作に関わったナンバーです。
弱冠19歳にして描かれた世界観は、『Juliette』のMV同様、とても鮮やかでキラキラとしていて、一度かかったら解くことのできない魔法のように女性達の心を捉えて離さない歌詞でした。
「ロミオとジュリエット」をモチーフに書いたというこの曲は、デビューしたばかりの若さと冒険心で溢れていますし、大人へと成長しゆくジョンヒョンのスタート地点でもあります。
この『Juliette』を始めとし、彼はSHINee自身にも様々な楽曲を提供してきました。
【SHINeeへ提供した作品たち】
◆2010年 アルバム「LUCIFER」の収録曲「욕(慾/Obsession)」
◆2012年 ミニアルバム「Sherlock」の収録曲『늘 그 자리에』 (Honesty)、『알람시계』 (Alarm Clock)』
◆2013年 リパッケージアルバム「The misconceptiones of us」のタイトル曲『너와 나의 거리 Selene 6.23』
◆2015年 アルバム「Odd」のタイトル曲『View』
◆2015年 リパッケージ鮮やか「Married To The Music」の収録曲『Chocolate』
※ヒップホップアーティストYankieとの共同作詞
◆2016年 アルバム「1 of 1」の収録曲『Prism』に作曲として参加
ソロアルバムやソロコンサートなど、一人のアーティストとしても積極的に活動していたキム・ジョンヒョンは、他の歌手への楽曲提供もしています。
初めての楽曲提供はIUへの『우울시계』 (A Gloomy Clock) です。
聞いてみるとIUにぴったりの可愛らしい曲で、随所に遊び心もあり、IUらしいなという印象が強いので、まさかジョンヒョンが書いたとはちょっと想像できなかったのを記憶しています。もともとはジョンヒョン本人がいつか自身の曲として発表しようと溜めていた曲だったそうです。IUが歌ったことで結果として、「可愛らしさや繊細さ」といったジョンヒョンの新たな一面が見えたように思います。
IU以外にも、他アーティストへ提供した曲はいくつかあります。
その中でも今回の出来事で、あらためて注目を浴びている楽曲があります。
YGエンターテイメントの女性ソロ歌手イ・ハイの2016年に発売された2ndアルバムに収録されている『BREATH』です。
この『BREATH』(한숨ため息)はジョンヒョン作詞・作曲で提供した曲です。
今あらためて注目されている理由は、その歌詞にありました。
彼が残した遺書を思い起こさせるような箇所がいくつかあるからです。
『BREATH』
숨을 크게 쉬어봐요
息を大きく吸ってみてください
당신의 가슴 양쪽이 저리게
あなたの胸が凍みるほどに
조금은 아파올 때까지
少し痛くなるまで
숨을 더 뱉어봐요
息をさらに吐き出してみてください
당신의 안에 남은 게 없다고
あなたの中に残るものがないと
느껴질 때까지
感じるまで
숨이 벅차올라도 괜찮아요
息が詰まっても大丈夫です
아무도 그댈 탓하진 않아
誰もあなたのせいにはしない
가끔은 실수해도 돼
たまには失敗してもいい
누구든 그랬으니까
誰でもそうだから
괜찮다는 말
大丈夫という言葉
말뿐인 위로지만
言葉だけの慰めだけど
누군가의 한숨
誰かのため息
그 무거운 숨을
その重い息を
내가 어떻게
私がどうやって
헤아릴 수가 있을까요
計り知ることができるでしょうか
당신의 한숨
あなたのため息
그 깊일 이해할 순 없겠지만
その深さを理解することはできないけれど
괜찮아요
大丈夫です
내가 안아줄게요
私が抱きしめてあげましょう
남들 눈엔 힘 빠지는
他人の目には力が抜ける
한숨으로 보일진 몰라도
ため息に見えるかもしれないけれど
나는 알고 있죠
私は知っているよ
작은 한숨 내뱉기도 어려운
小さなため息を吐き出すことも難しい
하루를 보냈단 걸
一日を過ごしたこと
이제 다른 생각은 마요
もう他のことは考えないで
깊이 숨을 쉬어봐요
深く息を吸ってみてください
그대로 내뱉어요
そのまま吐き出してください
정말 수고했어요
本当にお疲れ様でした
※繰返し等は省略
少し悲しい歌詞ですね。
誰もが年齢や人生の経験とともに、自分でも気づかぬうちに変わってゆきます。それは考え方や好みのスタイルだったり、雰囲気だったり、必然的に変わってゆくものです。生きるということ自体が「変化」なのかもしれません。
ジョンヒョンも同じでした。私達と変わらない、一人の人間で、ただちょっと違うのは彼がアーティストだったということです。デビューからの長い活動の中で培われた経験や感情を、自分自身でも気づかぬうちにその変化を作詞や作曲で表していたのかもしれません。
「楽しさ、感謝、嬉しさ、愛情」また「悲しみ、絶望、怒り」、そういった瞬間ごとの、正直でありのままの彼の姿が作品達には詰まっています。
愛情深くて、儚さや絶望感さえも感じられる『BREATH』を、デビューの頃には書けなかったでしょう。
『BREATH』の歌詞は最後を【정말 수고했어요本当にお疲れ様でした】と終わらせています。感じ方は人それぞれかと思いますが、私はマイナスには感じませんでした。
深く息を吸い込んで、ため息を吐き出して、一度苦しみを終わらせて新たな旅へ出発しよう・・・そのようにも感じられるからです。
SHINeeのメンバーとして、そして一人のアーティストとして、この世界に幾つもの作品という宝物を残してくれたキム・ジョンヒョンに「本当にお疲れ様でした」と伝えたい。ファンとともに歩んだ9年間は、「ロミオとジュリエット」のように甘く情熱的な時間だったのではないでしょうか。
心からご冥福をお祈りいたします。
参照:SHINee official web site
http://shinee.jp
http://shinee.smtown.com
TEXT:MIO











