今日は2011年頃から、ずっと興味を抱き続けているガールズグループについて。そのグループは、ずばり、SISTARです。SISTARは、ヒョリン、ソユがメインで歌い上げ、ダソムがサブボーカル、ボラがラップで脇を固める実力派グループです。

実は、私は、このSISTARというグループを、SISTARだと認識する以前からヘビーローテーションで視聴していました。それは、2010年6月26日にMusic Coreで披露した『Push Push』のYouTube動画です。

アフロ・ビートとファンキーなボーカル、躍動感のある動き、多くのリゾート客に囲まれた浜辺で演じ切る姿。SISTARというより、動画そのものの印象が残り、ビビッドな若さ溢れる衣装からは、グループの唯一性をそこまで感じることはありませんでした。

ただ、一人だけパックマンが笑った時のような表情で、途轍もなくデカい声を響かせている女の子がいたなということだけは記憶に刻まれていました。そして、2011年に『So Cool』のMVを観て、彼女らの魅力にすっかりハマってしまいました。

MVの中に、女性らしさ、元気さ、セクシーさが混じり合って、グループとして「個性」の強い輝かしいオーラを放っているように感じたからです。一歩間違えば、日本で言うところの「ザ・バブル」のダサい・古いの印象を与えるような衣装とダンスの振付けで、でも、それをポップかつキュートで先進的な雰囲気に収められたのは、彼女たちのバランス感覚の良さがあってこそなのです。

同じく2011年には、ヒョリンとボラがSISTAR19で『Ma Boy』をリリースします。この二人が当時19歳というのが驚きですが、何よりも大人の心地よさを感じさせる上質なメロウチューンをパッケージとして完成せたということが、後のSISTARの「裏」の魅力を作ったと言えます。

タイトル曲と、それに付随する曲を分析すると、『Alone』に対して『Lead me』だったり、『Give It To Me』に対して『Crying』など、2011年の『So Cool』と『Ma Boy』の二重の魅力と同じ構造を成していることが分かります。そして、『Lead me』や『Crying』はタイトル曲に負けないクオリティで、『Ma Boy』的役割をちゃんと果たしています。

私としては、SISTARのように、飽きを予感させず、ずっと興味を注いでいられるガールズグループは珍しく、その理由として、ヒョリン、ソユ、ボラ、ダソムが繰り出す4人の立体的な魅力が挙げられます。

SISTARの話をすると、よくヒョリンばかりが目立って取り上げられがちですね。実はこれはヒョリンそのものが抜きんでているということだけではなく、他の3人のメンバーがヒョリンと立体的な位置関係を築けるように上手く動いているように思えます。

例えば、「歌唱力」という点では…

・ヒョリン(メイン)…声が太い、歌い上げる、インパクトを残す

・ソユ(メイン)…ウィスパー系、聞いた後の心地よさを残す

・ダソム(サブ)…微力な歌唱力だが、アイドル性がある

・ボラ(ラップ)…Ma Boy でヒョリンと並行できるオーラ

まず、全員がが記憶に残る形で歌に入ってくるのがSISTARの素晴らしいところ。これは意外にも、他のガールズグループができていない部分に感じます。「あの子、歌ってた?」「どの部分?」ということにならず、記憶にしっかり残るというのは、K-POP戦線を勝ち抜く中ではとても大切な要素です。

私が最も評価したいのは、ソユのボーカルとしての実力の高さです。ソユのボーカル力のおかげで、「SISTAR=ヒョリン」にならずに、歌・ダンス・容姿の4人のバランスが一気に保たれ、多様な曲調にフィットできるグループに成り上がっているように思えます。

ヒョリンの声量に対してソユの歌唱を聴くことが多いため、ソユの力が過小評価されてしまいがちですが、他のグループに行けば、一番目のメインボーカルとして扱われるでしょう。

ガールズグループには、一人だけ歌えるけど、他のメンバーの歌唱が弱いというケースが見られます。

音楽番組などを観ていて、グループ内で声量の差が激しかったりすると、それだけでバランスの悪さや違和感のある聞き心地が耳に残ってしまいます。

SISTARの中では、一番歌唱力に難のあるダソムがギリギリでそうならないのは、ヒョリンとソユの歌が上手すぎたり、本格的すぎるため、ダソムの色合いが必要な要素になってくるからです。そして、サビ前やDメロなどで、SISTARのアイドル的柔和を表現してくれています。

次に4人の容姿や雰囲気を比較してみましょう。

・ヒョリン…インパクト、存在感、オリジナルアイコン

・ソユ…お姉さん、セクシー、落ち着いた雰囲気

・ダソム…美白、可愛い、アイドルど真ん中

・ボラ…活発、元気、容姿・雰囲気も上記3人の長所をバランスよく持っている

すべての曲にインパクトを与えるヒョリンはSISTARが何を行って実力派として記憶に残

す、いわば「核弾頭」です。

ソユは、お姉さん的、美容の資格を持っているのが影響しているのか、知的な美と落ち着いた雰囲気で、言うなれば、シスターを大人っぽくする「誘発剤」です。ダソムは、SISTARをアイドルという枠に収める「キューティードール」です。ダムソがいないと、ベテラントロットグループ的な雰囲気を出してもおかしくありません。

ボラは、ヒョリンと二人で並べる存在感の高さがありながらも、どこかのファクターに強く収まるのではなく、元気でもセクシーでもキュートでも、上手く馴染むことができる「変幻自在の立役者」です。『Lead Me』や『Crying』はソユが作る雰囲気が大きいし、『Loving U』では、ダソムのアイドル性とボラの元気よさが、パッケージを引き立てていると言えます。

それは、ヒョリンが聴衆にトドメさす「超インパクト」の実力を、3人が上手く使いこなしているということです。とはいえ、私はヒョリンが大好きであり、いきなりエンジンを吹かしたように響き渡るその声を、「一段ブースター」と勝手に呼んでいます。もちろん、IUの三段ブースターを批判している訳ではありません。

4人の立体構造から映し出されるのが、SISTARのクオリティであり、だからこそ、飽きが来ない魅力を出し続けることが出来るのだと感じました。

今後の彼女らのさらなる魅力に期待が高まるばかりです。